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【製薬】【転職】MRの転職先としてのCRA

2013年にMRからCRAに転職して、まもなく10周年を迎えます。

転職してきた当時とは、MRもCRAもかなり環境が変わってきていると思いますが、今でも未経験CRAの採用要件に「MR経験有り」を挙げているCROも多いみたいなので、MRからCRA(CROの)に転職して変わったこと、CRAに活かせるMRのスキル、CRAとしてやっていくために磨く必要のあるスキル等について書いてみます。

(いったん公開しますが、気が付いた点があれば随時更新します。)

 

目次

 

MRからCRAに転職して変わったこと

マイナス面

これは間違いなく変わる、しかもかなりの規模でしかも影響が甚大なのが、「給料」。私自身、CRAに転職するときにはこの点で大変悩みました。提示された年収が月額手取りでいくらになるのか、社会保険料やその他税金について調べたりして、これから子供が生まれる家族を養っていけるのか真剣に検討しました。この点がネックになって転職を諦める人も多いと思うので、経験を踏まえて厚めに赤裸々に書きます。

例えば新卒で3年間メーカー勤務したMRがCRAに転職する場合、「営業手当」「外勤手当」を含めた総収入から数百万円単位で減ります。多少採用面接時の交渉で変わるところはありますが、未経験CRAの採用時の年収は400-430万円前後です。MRと同じく「外勤手当」はありますが、遠方への出張時のみに限られていたり、そもそも回数がMRと比べると劇的に少ないので期待できません。一方で残業代は付きますが、月間20時間以上の場合のみ発生するという規定になっていたりと、こちらもあまり期待ができず。(20時間以上も残業が発生することもありますが、基本的には一時的です。)

ただし、MRと比べればかなり年収は低いものの、世間一般と比べれば決して悪くはありません。しかも普通に勤めていれば少しずつでも確実に上がります。しかも業界としては比較的安定しています。

共働きということも考えれば、特に生活に不安を覚えるレベルの待遇ではないと考えて、私の場合は転職を決断しました。

また給与については経験を積めば少しずつではありますが上がります。ただし、しっかりと給与を上げたい場合、早々にリーダー職への出世をつかむ(ハードル高)か、うまいこと転職するしかありません(人間関係等、転職には当然それなりのリスクが伴いますが)。

プラス面

私生活の面での安定性は格段に増します。今では多くのCROがフレックス制を採用しており、MRのように早朝から卸に出向くようなことはありません。MRのように見なし労働ではないので、だらだらとオフィスにいなければならないこともなく、繁忙期は別として夕食は家族と一緒にとれる時間に仕事が終わります。(在宅勤務を採用するCROも増えてきているようです。)

また、転勤も基本的にはないので、長い目で見ての将来設計も立てやすいです。

製薬会社との関係

メーカーMRからCRAに転職する場合、転職先はほぼ確実にCROになります。CROにとってメーカーはお客様。これまでの同僚はお客様企業の社員となるわけです。これをどうとらえるかは個人の自由ですが、ビジネス上、こういった事実は知っておくべきです。

医師・医療機関との関係

MRにとって医師・医療機関はお客様的存在です。一方でCRAにとって医師・医療機関はお客様ではありません。治験は製薬メーカーが医療機関にお金を払って実施されます。そしてCRAは製薬メーカー側の立場。つまり、「医師・医療機関がやって当然のことをしっかりやるよう管理する」立場です。もちろんそんなことダイレクトに言う訳にはいかないのですが、お客様である製薬メーカーはそれをCRAに求めます。これまでお客様として接してきた医師に「言わなければならないことをしっかりと言う」ということは元MRのCRAにとってはなかなか勇気のいることだと思います。

CRAとして活かせるMRのスキル

コミュニケーション能力

営業力として日々鍛えたコミュニケーション能力は間違いなく活きます。特に医療関係者とのコミュニケーションについては、MR経験者と未経験者では段違いの差があります。ときどき、医師とトラブルを起こしてメンタルをやられてしまうCRAがいますが、MR経験者であればそのリスクは低いでしょう。また単純に社内のコミュニケーションという意味でも、プラスに働くと言えます。

プレゼンテーションスキル

MRであれば導入研修やその後も徹底的に叩き込まれるプレゼンスキルですが、CRAは特にそこまでプレゼンを教育されることはありません。一方で、プレゼンする機会がないかというとそういうこともなく、そういった場面で元MRのプレゼンスキルは活かされます。特にプレゼンが得意なMRの場合、CRAに混じればかなり目立つことでしょう。当然、評価の際もプラスに働きます。

医薬品にまつわる知識

MRとして担当していた疾患領域については、CRAとして働くには十分な知識があると考えていいと思います。ただし、医薬品業界も日進月歩。数年でその知識も古いものになるので学びの姿勢は必須です。

ストレス耐性

日々のストレスで言えば、MRの方が大きいと思います。一方でCRAの業務にもストレスが付きまといます。数年でCRAを辞めて他の職種に転職する人もそこそこいます。そういった意味で、MRとして養われたストレス耐性はCRAとしてプラスに働くでしょう。

CRAとして磨く必要のあるスキル

事務処理能力

間違いなく事務能力(内勤業務に関する能力)は磨く必要、強化を意識する必要があります。とくにレポートについて。MRも日報や営業報告書を日常的以下来ますが、CRAの書くモニタリングレポートはその重要性がけた違いです。何しろ、GCP(MRの業務がGVPに規定されるものであるように、CRAの業務はGCPに規定される)で規定されている、言わば公文書。必要事項を書き忘れたりしようものなら、後から大問題に発生する可能性すらあります。また書類の処理についてもその量はけた違い。処理する請求書の数もかなり多くなります。MRは外勤中心の職業ですが、CRAはあくまでも内勤職。事務能力の低さは評価を下げることにつながります。

総括

ここまで、MRがCRAに転職するとどうなるかを書いてみました。

結果論かもしれませんが、私自身はCRAへの転職に後悔はありません。(今のところ)

CRAへの転職を検討するMRにとって、一番のネックはやはり年収だと思います。

ただし生活の安定面等、引き換えに得られるものも多くありますので、MR→CRAの転職は十分に検討する価値のあるものだと思います。

後でもっと考えればよかったと後悔しないよう、しっかりと自分の人生観、将来を考えて、決断されることを願っております。