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【製薬】【転職】【20代】実録・製薬業界転職記 エピソード3 ~派遣MRとしての日々とその後~

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いろいろあっての他業種転職、その転職失敗からのキャリア再構築プランの一歩として希望通りCSO(MR派遣業者)への転職に成功した。その後の経過の話。

 

入社後すぐに派遣先製薬会社での研修が始まった。

派遣先の研修センターで1か月、主力製品の対象疾患の基礎から、製品の特長、プレゼンの練習、他社製品との競合の状況等々、みっちりと研修で仕込まれる。地方在住の私はその間、近くに用意してもらったビジネスホテルに泊まりこみである。

転職動機は20人くらいだっただろうか、おなじCSO所属が半数、残りの半数はまた別のCSOの所属だった。中には50歳を超えている人もいたが、概ね同年代だった。そこにいるのはほとんどがMR経験者で、製薬会社のMRを退職したばかりの人や、以前はほかの製薬会社に派遣されてそこでの案件を終えたばかりという人もいた。MR未経験の人もいたが、そういう人はCSOでの数か月に及びMR導入研修*1を終えたばかりという感じだ。

 

研修初日から、「派遣」の厳しさを身に染みて知らされることになった。研修態度に問題があればすぐに派遣元のCSOに送り返されるということを初っ端に宣言され、研修担当者からはフレンドリーさのかけらも感じられない。(当然といえば当然だ)

そういう状況なので、新卒入社した製薬会社でのMR導入研修中とは比較にならない緊張感がある。CSOの方でも自社社員の派遣先での状況は把握しており、人事担当者が研修中に数回やってきて、叱咤激励していた。私にはそういうことはなかったが(幸い)、テストの点数や研修態度、社会人としての素養(時間厳守とか挨拶とか)に問題がある場合には派遣先からCSOの方に連絡があるようで、直接人事担当者から電話で連絡を受けて指導されているケースもあった。

そんな中でも、だんだんと研修担当者の人となりも見えてきて距離も縮まり、派遣先としても我々に期待していることや、また派遣先での人間関係がどういうものかというものについても実感することができた。

結局、研修同期は全員無事に研修を終え、各配属先に散っていったのだった。

 

派遣先でのMRとしての業務は、その内容は製薬会社のMRをしているときと何ら変わりはないものだった。月曜日は基本的に営業に出ずに社内の会議や研修で1日が終わるとか、各社によって文化の違いはあるものの、基本的な仕事内容であったり1日の過ごし方に大きな違いはない。

派遣先のネームプレートを付けて、派遣先の名刺を使うし、別に自分が派遣MRであるということを明らかにすることはないので、社外の人間関係も特に変わったことはない。(以前に勤めていた製薬会社の知り合いに会ったときに、「あれ?」みたいなことはあったが、たいしたことではない)

決定的に違うのはやはり「派遣」であるということでの、同じ営業所内の”同僚”からの目線である。特に初期は「こいつ大丈夫か?」というような目でずっと見られるし、業務上以外の会話をすることもない。こっちもずっと緊張しっぱなしで心が休まることはない。そんな時にありがたかったのが同じく派遣MRをやっている人とのつながりで、研修同期と近況を連絡しあったり、たまたま知り合った同じエリア内の他社派遣MRと交流したりして、気を紛らわせていた。

 

派遣先では主に以下のようなことに気を付けて仕事をしていた。

  • 時間厳守、期限厳守、挨拶徹底(社会人として当たり前のことは絶対に怠らない、凡事徹底)
  • 努力で何とかなることはやり遂げる。(営業成績とか相手があるものはどうしようもない時があるが、その点は周りもわかってくれている。)
  • 仕事に対しては「真面目」であることをとにかく意識して、周囲にもアピールする。

 

ちなみに、派遣元のCSOにも上司にあたる人はいる。

全国各地に担当を抱えているので、日々飛び回っているようだが、数か月に1度やってきて、派遣先の上司と面談して状況を確認したり、担当の派遣MRと食事をしながら面談して派遣先上司からの評価をフィードバックしたりということがある。(おいしいものをご馳走してくれるので、そこそこ楽しみにしていた)

 

そうこうしているうちに、研修期間と同じだが、だんだんと周囲との人間関係もできてきて、依然として緊張感は維持しているものの、営業所内での居心地も悪いものではなくなってきていた。派遣先の上司は同僚からの評価というものも、肌で感じられるようになってきた。(少なくとも真面目で、仕事をちゃんとしていると認識されていることを感じられた。)

 

そんな感じで日々を過ごしている中で、今後のキャリアについて、「CSOのMR」を前提にすることは現実的ではないということを認識するようになった。理由は以下の通り。

  1. 派遣MRをやっている人は主に「製薬メーカーへの転職を志している(できれば派遣期間終了時に派遣先に引き抜いてもらいたい)」「長年製薬会社のMRをやってきていてキャリア終盤に差し掛かり、希望退職等で退職した後、最後の数年を退職後に過ごしたい場所でCSO派遣MRをしている」この2パターンである。私と同じ20代で、「これからもCSOの派遣MRをずっと続ける」という人とは一人として出会わなかった。ちなみにCSOの上司にもそんな人がいるか聞いてみたが、はぐらかされてしまった。(まぁ、答えづらいよね。。。)
  2. 地方の同じ場所にとどまって、長い間派遣MRをするということは現実的ではない。(大都市なら話は違うのだろうが、地方で安定して案件があるということは保証できない。これはCSOの上司から聞いた話)
  3. 派遣期間は概ね2年間。つまり2年後はほかの製薬会社に派遣されることになる。そのたびに人間関係をゼロから構築というのはなかなかストレスだ。。。すぐに次の派遣先が決まる保証もなく、案件待ちの間は給料も減らされる雇用契約になっている。
  4. 派遣切りのリスクが付きまとう。実際、研修同期の派遣MRが数人、配属先での業務が芳しくなかったようで、派遣切りにあったと聞いた。どれだけ自分で真面目にやっていると思っていても、こればかりは相手のあることだからリスクはゼロにはできない。

これから家庭を築いていくなかで、このままずっと派遣MRというのはどうなんだろう。30代になったらキャリアの方向転換もより困難なものになるだろう。今の派遣先での仕事が終わるまでの間に何らかの結論を出さなければならない。そんな状況だった。

地元での別の仕事を含めて、色々なことを調べて考えて、ということをしているうちに、大きなターニングポイントがやってきた。

 

妻の妊娠、である。

 

いつかは来ると思っていたことだし、望んでいたことだったからとても嬉しかった。

一方で今後のキャリアについてもより真剣に考えなければならなくなった。

妻の体調の事もあるので、日によっては仕事を早めに切り上げる必要があったりするので、上司同僚には「子供ができます」ということは伝えた。みんな普通に喜んでくれたので非常にうれしかった。「お前これからどうするんだ?」というような心配もしてくれた。上司が引き抜きを考えてくれていることを教えてくれる先輩の同僚もいた。(ありがたいことこの上ない。涙)結局のところ、派遣先での上司同僚には大変恵まれていた、ということなのだろう。そもそもMRとして新米程度の経験しかない派遣MRを受け入れてくれて接してくれた、時には指導もしてくれた。本当に感謝している。

 

振り返ってみると、社会の厳しさや仕事の基本といったものを本当の意味で身につけさせてくれたのは派遣MRとして過ごした期間だったと思う。決して楽しくはなく、どちらかというとしんどい日々だったが、「甘ちゃんで社会を舐めていた」自分を身に染みて実感し、仕事に対する意識を学ぶことができたと思う。

 

結論として、ここから私は製薬業界で2回目の転職活動を開始するわけだが、そこに至るまでについては次号にて。

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続く。

ジェイエイシーリクルートメント

*1:MR導入研修:製薬会社に新卒入社したMRは4月~8月くらいまで、各社の研修センターやホテルに缶詰めになって、研修三昧の日々を送る。私もそうだが、半数以上が文系出身であったりそもそも生物学のバックグラウンドがないので時間がかかる。8月以降は全国各地に配属されるが、年末ごろに業界主導の「MR認定試験」が実施されて、それに合格すれば導入研修は一通り完了ということになる。MR未経験でCSOに入社した場合は、派遣される前にそのような導入研修をCROで受ける。